終売劇から2年、「あのバタースカッチ」が残した巨大な空白——明治「チェルシー」を巡るレトロ消費の現在地

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終売劇から2年、「あのバタースカッチ」が残した巨大な空白——明治「チェルシー」を巡るレトロ消費の現在地
終売劇から2年、「あのバタースカッチ」が残した巨大な空白——明治「チェルシー」を巡るレトロ消費の現在地
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🎵 終売劇から2年、「あのバタースカッチ」が残した巨大な空白——明治「チェルシー」を巡るレトロ消費の現在地

チェルシー 飴が日本の店頭から完全に姿を消して、早くも2年の月日が流れた。1971年の発売開始以来、53年間にわたって老若男女に愛されてきた明治の看板商品は、2024年3月をもって惜しまれつつその長い歴史に幕を下ろした。だが、英国風のシックな花柄パッケージと濃密なバタースカッチの味わいは、今なお人々の記憶と市場の関心を惹きつけて止まない。

終売発表時の狂乱的な買い占め劇から2年。当時の熱狂は落ち着きを見せたものの、日常のふとした瞬間にチェルシー 飴の濃密な甘さを思い出す人は依然として多い。空き箱やノベルティグッズがフリマアプリで高値取引される光景は、もはや珍しくなくなった。一粒のキャンディが市場に残した足跡は、想像以上に深い。

フリマアプリで続く「プレミアム現象」の実態

製造終了から時間が経過した現在も、メルカリやヤフオク!といったプラットフォームでは、未開封のパッケージやノベルティグッズの出品が途絶えていない。特に、終売直前に製造された限定アソートや、昭和期の復刻デザイン箱などは、当時の販売価格の数十倍という驚くべきプレミアム価格で取引されるケースも散見される。

「賞味期限が切れていると分かっていても、どうしても手元に置いておきたい」。あるコレクターは熱っぽく語る。食品としての価値を超え、デザインや思い出を所有するための「骨董品」のような扱いを受け始めているのだ。

なぜ「あなたにも分けたい」は令和の世代まで届いたのか

「あなたにも分けたい」——シモンズが歌うあのアコースティックなCMソングを覚えているだろうか。小林亜星氏が手掛けた叙情的なフレーズは、昭和から平成、そして令和へと受け継がれてきた。

近年、Z世代を中心とした若い層の間で昭和・平成レトロブームが完全に定着した。彼らにとってチェルシーの花柄デザインやどこか懐かしいCMフレーズは、古くささではなく「エモい新しい文化」として映った。SNS上では、当時のCM映像をオマージュした動画や、パッケージデザインを模したネイルアートが今なお投稿され続けている。

キャンディ市場を襲う原材料高と「個包装」の構造的課題

明治がチェルシーの撤退を決断した背景には、市場規模の縮小だけでなく、急速な原材料価格の高騰があった。砂糖や乳製品の世界的な値上がり、さらには物流コストやエネルギー費用の急増が、利益率を直撃した格好だ。

加えて、近年のキャンディ市場における主力はグミやソフトキャンディへと移行しており、ハードキャンディのシェアは年々減少傾向にあった。また、プラスチックごみ削減に向けた環境意識の高まりと、コスト削減の狭間で、従来の箱型パッケージや個包装の維持が困難になった点も無視できない。

北海道限定「生キャラメル」で見せた新たな生き残り策

本家のキャンディが幕を閉じる一方で、ブランドの遺伝子は予想外の形で生き残った。明治のグループ会社である道南食品(北海道函館市)が手掛ける「北海道チェルシーバタースカッチ味」の生キャラメルだ。

北海道限定の土産物として展開されたこの製品は、発売直後から観光客やファンの間で爆発的な人気を博した。キャンディから生キャラメルへと形を変えつつも、独特のバタースカッチ風味を見事に再現。「地域限定」「形態変更」という手法を取り入れることで、伝統の味を未来へ紡ぐ新たなビジネスモデルの成功例となった。

「昭和・平成名菓」の相次ぐ撤退とブランド再定義

チェルシーの終売は単一のニュースにとどまらず、日本の菓子業界全体における一つの転換点となった。近年、長年愛されてきたロングセラー商品が相次いで終売や大幅なリニューアルへと追い込まれている。

企業にとって、歴史あるブランドを守ることと利益を確保することの両立は極めて難しい判断だ。既存のファンを大切にしながらも、変化する現代の需要に適応できなければ、どれほど名作であっても市場からの退場を余儀なくされる。チェルシーが残した教訓は、各メーカーのブランド戦略に大きな課題を突きつけている。

ファンの熱望とメーカーの現実——復刻へのハードル

ネット上では今もなお「期間限定での復刻」や「周年記念での再販」を望む署名活動や要望の声が根強く存在する。しかし、一度閉鎖した専用の製造ラインを再稼働させるには、莫大な設備投資と人件費が必要となるのが現実だ。

明治側もファンの熱意は認識しつつも、採算面や生産体制の観点から慎重な姿勢を崩していない。それでも、人々の心に刻まれた「あの一粒」の甘い記憶が消えることはない。時代がどれほど移り変わろうとも、チェルシーという名菓が日本の食文化に描いた色鮮やかな花柄は、これからも鮮明に輝き続けるだろう。 (出典: チェルシー 飴(Yahoo!ニュース)