PGAツアーで異彩を放つ23歳。世界が目撃する「久常涼スタイル」の現在地と進化
久常 涼の名が、いま世界のゴルフシーンで鮮烈な響きを伴って駆け巡っている。2026年シーズン、米PGAツアーのタフなフィールドにおいて、この若き日本人はもはや「期待の新人」などという生ぬるい言葉では括れない存在となった。かつて欧州DPワールドツアーで日本人初のルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたあの日から、彼の進化速度は加速度を増すばかりだ。
酷暑のテキサスでも、強い海風が吹き荒れるリンクスでも、彼のプレースタイルはブレない。世界中のゴルフ関係者が口を揃えて指摘するように、久常 涼の本質はどんな局面でもピンをデッドに狙う強烈な攻めの姿勢にある。リーダーボードの上位にその名を連ねることが日常となりつつある今、彼が目指す「その先」の景色とは何か。現地からの最新取材を交えて迫る。
欧州での歴史的偉業が拓いたPGAツアーへの扉

彼のグローバルキャリアにおける決定的な分岐点は、やはり欧州ツアーでの戴冠劇だった。2023年の「カズー・オープン・ドゥ・フランス」で見せた圧巻の逆転劇は、欧州のゴルフファンに強烈なインパクトを残した。日本人として同ツアー史上3人目の優勝者となり、さらには年間最優秀新人賞(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)を勝ち取った実績は、彼にPGAツアーへのフルシード権をもたらした。
海を渡った久常は、文化や芝の違いに戸惑う暇もなく、持ち前の適応力を発揮。米国の硬く締め固められたグリーンに対しても、物怖じすることなくアイアンショットを打ち込んでいった。欧州で培った多様なライからの対応力が、過酷なPGAツアーでの生き残りを強固なものにしたのは言うまでもない。
ピンをデッドに狙う「攻めのゴルフ」とスタッツの裏付け

久常のプレーを象徴するのが、圧倒的なバーディ奪取率だ。ツアー内でもトップクラスを誇るパーオン率と、好調時のパッティングが噛み合った瞬間の爆発力は、ライバルたちにとっても恐怖の対象となっている。慎重にパーを拾う安全策ではなく、常にボギーのリスクと隣り合わせのピンポジにも果敢に挑む姿勢が、彼の代名詞だ。
2026年シーズンの最新データを見ても、彼のアイアンショット精度はさらに研ぎ澄まされている。特に150ヤードから175ヤード台のセカンドショットにおけるベタピン率はツアー屈指。この距離から確実にチャンスを作り出す能力が、彼を安定して上位に送り込む最大の原動力となっている。
松山英樹との絆と「日本ゴルフ二本柱」の確立

日本のゴルフ界において、久常の台頭は長年待ち望まれていたピースでもあった。マスターズ王者である松山英樹という巨大な背中を追いかけつつも、彼自身の個性を発揮しながらPGAツアーの最前線で戦い続けている。練習ラウンドをともに過ごす中で、松山から吸収したコースマネジメントやアプローチの技術は、着実に久常の肉体と頭脳に血肉化されている。
松山が重厚な安定感と圧倒的な経験値でツアーを牽引する一方で、久常は若さと物怖じしないスピード感でフィールドを揺さぶる。今やメジャー大会のリーダーボードにおいて、日本のゴルフファンがチェックすべき名前は一つではない。「松山・久常」という二本柱の存在が、世界のゴルフ界における日本の地位を確固たるものにしている。
課題とされるショートゲームの克服と成長の足跡
もちろん、ここまでの道のりがすべて順風満帆だったわけではない。フル参戦初期に直面したのは、米国のコース特有の深いラフや、粘りつくようなバミューダ芝からのアプローチショットだった。フルショットの精度が高すぎるがゆえに、グリーンを外した際のリカバリーショットでスコアを落とす場面も散見された。
しかし、久常の最大の強みは「課題を糧にする修正能力」にある。オフの期間中に世界のトップコーチとともにショートゲームをゼロから見直し、ウェッジのバンス角や打ち出し角のコントロールを徹底的に磨き上げた。現在の彼は、かつて弱点とされたグリーン周りからでも果敢にパーを拾い、時にはチップインバーディで流れを引き寄せるまでの変貌を遂げている。
23歳の素顔:飾らない人柄と強心臓を支える思考法
クラブを握ればアグレッシブなプレーで観客を魅了する彼だが、フェアウェイを降りれば至って自然体の23歳だ。海外メディアのインタビューにも英語で堂々と答え、ユーモアを交えたやり取りで現地記者の心を掴んでいる。取材陣に対して見せる素直で飾らない姿勢も、彼が世界中で愛される理由の一つだ。
どれほど大舞台であっても緊張に押し潰されない理由について、本人はかつて「目の前の1打に集中するだけ」とシンプルに語っていた。プレッシャーを楽しむかのような強心臓と、どんな失敗も引きずらないポジティブなメンタリティ。このメンタルのしなやかさこそが、過酷な連戦が続くツアー生活を支える最大の武器にほかならない。
悲願のPGAツアー初勝利とメジャー制覇へ向けた展望
2026年、ゴルフファンが固唾をのんで見守っているのは、彼の手によるPGAツアー初優勝の瞬間だ。すでに何度も優勝争いに絡み、勝利の味を知る一歩手前まで迫っている。トップツアーでの勝利はもはや「いつ達成されるか」という時間の問題と言っていいだろう。
さらには、4大メジャー大会における上位進出、そして戴冠への期待も膨らむばかりだ。若くして欧州を制し、アメリカで牙を磨き続ける久常涼。彼が開拓する新しいゴルフの道筋は、日本のスポーツ史に新たな黄金期をもたらそうとしている。世界の頂へ挑む彼の弾道から、当分目が離せそうにない。 (出典: 久常 涼(Yahoo!ニュース))